大学入試で、総合型選抜(AO入試)の割合が増加傾向です。
2022年度大学入学者選抜の実施方法は、一般選抜が約50%、学校推薦型選抜(指定校推薦など)が約30%、総合型選抜(AO入試)が約20%でした。
(文部科学省「大学入学者選抜の実態の把握および分析等に関する調査研究」(2023年3月31日公表)より」
増加する理由
建前としては、ペーパーテストだけでは測れない多様な観点から多様な学生を集めるということですが、大きな理由としては、「早期の学生確保」と「卒業生の活躍」の2つがあります。
なぜ一般選抜以外の方法が増えているのかを見ていくと、とるべき戦略が見えてきます。
早期の学生確保
一般選抜(一般入試)が1月以降に行われるのに対して、総合型選抜・学校推薦型は9月~12月と、年内に試験が行われます。
その分、大学は学生を早めに集めることができますし、学生としても、早めに進学先を決めることができます。
また、これらの入試は、合格した場合は必ず入学するなどの条件が課される場合が多く、大学側としても、より確実に学生を集めることができます。
以上のことは、付属校から大学に進学する内部進学でも同様のことが言えます。
卒業生の活躍
様々な選抜方法で学生を集めることで、多様なバックグラウンドの学生が集まります。卒業後にも、多様なフィールドでの活躍が期待できます。
特別な能力
スポーツ大会や数学オリンピックなどで目覚ましい活躍をした高校生、何らかの分野で突出した力を持つ高校生、高校時代にユニークなことを成し遂げた高校生は、その後も、活躍する可能性が大いにあります。
プレゼン力
志望理由書や面接が課される場合、自身の考え・アピールポイントなどを的確に伝える必要があります。それらは、就職時はもちろん、社会で活躍していくにあたっても必要となります。そのような能力を持った学生は、やはり、卒業後も活躍する可能性が大いにあります。
その他
上記以外にも、さまざまな複合的な要因から、一般選抜以外で入学する割合が増えたものと思われます。様々なことが以前よりも厳格になり、情報公開されるようになったからというのも理由かもしれません。
各入試の特徴
以上を踏まえて、各選抜方法の特徴を改めてみていきます。
内部進学
附属高校から系列の大学への進学です。
メリット
・一般入試よりも負担が少ない
・大学受験にかかる費用が減らせる
・早めに入学を決められる
デメリット
・人気の学部に入るためには一定水準以上の学校成績が必要
・希望の学部に入れない・無い場合がある
・推薦権を持ったまま他大学を受験できない
・進学できなかった場合一般選抜への進路変更がすぐには難しい場合がある
注意点
・そもそも難関大学の付属校合格は、大学の一般入試より難しい場合がほとんど
学校推薦型選抜
指定校推薦とも呼ばれます。
9月~12月ごろにおこなわれますが、当然ながら早めにアンテナを張っておく必要があります。
メリット
・校内選考を突破すればほぼ合格
・大学受験にかかる費用が減らせる
・本来の学力以上の大学に合格できる可能性がある
・早めに入学を決められる
デメリット
・一定水準以上の学校成績が必要・高校3年間良い成績を(体育・音楽も含め)取り続けなければならない
・原則として併願・辞退などはできない
・進学できなかった場合一般選抜への進路変更がすぐには難しい場合がある
総合型選抜
9月~12月ごろにおこなわれます。
メリット
・本来の学力以上の大学に合格できる可能性がある
・自身の能力を生かすことができる
・学校推薦型と異なり、高校時代の成績を重視されない場合が多い
・学力試験のみなど、一般選抜とほぼ同じ選抜方法の場合もあり、その場合は不合格でも、そのまま一般選抜にもチャレンジできる
・早めに入学を決められる
デメリット
・併願・辞退などはできない場合が多い
・志望理由書・小論文対策など特別な対応に時間をかけ、総合型選抜対策に進学できなかった場合、一般選抜への進路変更がすぐには難しい場合がある
注意点
「総合型選抜」というだけあって、選抜方法はなんでもありです。
過去の、「推薦入試」「AO入試」の頃と比べて、より多様な入試方式がとられています。
自分には関係なさそうと思っても、実は「一般選抜」とほぼ同じ選抜方法の入試、一般選抜を受験予定でも負担の少ない入試も結構あります。
一般入試メインでも腕試し?
一般選抜を受験する場合でも、9月~12月の入試で、一般入試への勉強に負担が無さそう・少なそうなものであれば、チャレンジしてみるのも良いでしょう。
「総合型選抜」以外のカテゴリーでも、例えば防衛大学校の一般採用試験・神奈川大学の給費生試験などは、9月~12月の時期に行われます。
一般選抜
1月~3月に行われます。
メリット
・高校時代の成績は考慮されない(一部国公立大学を除く)
・試験の成績で合否が決まる
・大学により複数の入試日程・方式があり、都合のいいものを受験できる
・科目を絞り込み受験ができる
・併願・辞退は自由にできる
デメリット
・試験の成績のみで合否が決まる
・一般選抜以外の選考と比べて、合否発表が遅い
多いケース
近年では、9月~12月の入試に何かしらチャレンジし、そこで合格を決めるか、残念ながら不合格でも1月からの一般選抜で合格を決め、無事に進学というケースが多い印象です。
ほぼ学力試験のみの形式の9月~12月の総合型選抜などにチャレンジし、1月の一般選抜を迎えるのがベターであるといえます。
その他、何か可能性に賭けたい場合は、しっかり準備が必要なタイプの総合型選抜にチャレンジしてみるのもよいでしょう。
将来はどうなるか
就職試験においても、SPIの能力検査を多くの企業が課していたり、応募者の多い大企業では選考過程で独自の学力検査を課したりします。就職にあたっても、基礎学力は当然ながら必要となります。また、海外の事例でも、アメリカの高校生が大学に進学する場合に、SAT(大学進学適性試験)の成績が考慮されています。このような状況をふまえると、総合型選抜は増加傾向ではありますが、おそらく一般選抜のような学力試験は一定の割合で将来も継続していくものと思われます。
まとめ
多様な入試方式のある大学入試。
それぞれのメリット・デメリット・負担などを考慮しつつ、戦略的に準備を進めていくことが大切です。
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