スキーマ・スキマ・スキームの違い/学び・記憶に生かすためには?

スキーマ・隙間・スキームの関係を考える

今回は「スキーマ(schema)」「隙間(すきま)」「スキーム(scheme)」という3つの言葉について考えていきます。これらの言葉は音が似ているだけでなく、実は語源的なつながりを持っているものもあります。特に「スキーマ」と「スキーム」は、どちらも古代ギリシャ語の 「σχήμα(skhēma)」 に由来し、「形」「構造」「枠組み」といった意味を持っています。では、それぞれの言葉の意味を詳しく解説しながら、共通点や違いを探っていきましょう。


1. スキーマとは何か?

スキーマの基本的な意味

「スキーマ(schema)」という言葉は、主に心理学、認知科学、情報学などの分野で使われる概念です。簡単に言うと、私たちが物事を理解するための「枠組み」や「知識の構造」のことを指します。

例えば、「犬」という言葉を聞いたとき、皆さんの頭の中には、以下のようなイメージが浮かぶかもしれません。

  • 四足歩行の動物
  • しっぽがある
  • 人間と親しい関係を持つ
  • 吠える

これらの知識がまとまって、「犬」という概念を理解するための「スキーマ」になります。スキーマがあることで、私たちは新しい情報をスムーズに整理し、理解することができます。

スキーマの語源

スキーマ(schema)は、古代ギリシャ語の「σχήμα(skhēma)」に由来しています。この言葉は「形」「構造」「配置」などを意味し、そこから「何かを理解するための枠組み」として発展していきました。

この語源を知ると、スキーマが「情報の整理された形」として働くことが直感的に理解できるのではないでしょうか。

スキーマがもたらす影響

スキーマは、私たちの日常生活の中で無意識に働いています。例えば、初めて訪れるレストランでも、

  • 「店員さんが席に案内してくれるかもしれない」
  • 「メニューがあり、注文すると料理が運ばれてくる」
  • 「食事が終わったら会計をする」

といった予測ができます。これは「レストランに関するスキーマ」が頭の中にあるからです。もしスキーマがなかったら、毎回ゼロから情報を整理しなければならず、非常に時間がかかってしまいます。


2. 隙間とは何か?

物理的な隙間と知識の隙間

「隙間(すきま)」という言葉は、一般的に「何かと何かの間に空いている部分」を指します。例えば、

  • 本棚に本を並べたときにできる「隙間」
  • 壁と家具の間に生まれる「隙間」

といったように、物理的な空間の隙間がイメージされます。

しかし、隙間という概念は、知識や理解の分野にも当てはめることができます。例えば、何か新しいことを学ぶときに、「この部分がよく分からない」と感じることがありますよね。これは「知識の隙間」がある状態です。

スキーマと隙間の関係

ここで、「スキーマ」と「隙間」の関係を考えてみましょう。スキーマがしっかりしていると、新しい情報をスムーズに理解できますが、スキーマが不完全だと、理解の途中で「隙間」が生じます。

例えば、数学の問題を解くときに、「公式は知っているけど、なぜこの計算になるのかが分からない」と感じることがあるかもしれません。この「分からない部分」が知識の隙間です。この隙間を埋めることで、より深い理解につながります。


3. スキームとは何か?

スキームの意味と使われ方

「スキーム(scheme)」という言葉は、英語の “scheme” に由来し、「計画」「枠組み」「構想」といった意味を持ちます。ビジネスの世界では、「ビジネススキーム」という言葉がよく使われ、事業の仕組みや計画を指します。

例えば、ある企業が新しい商品を販売するとき、

  • どの市場に向けて売るのか?
  • どんな広告を打つのか?
  • どのように顧客を増やすのか?

といった計画を立てます。これが「ビジネススキーム」です。スキームは、単なるアイデアではなく、体系的に整理され、実行可能な形にまとめられた計画を指します。

スキームの語源

スキーム(scheme)も、スキーマと同じく古代ギリシャ語の「σχήμα(skhēma)」に由来しています。本来「形」「構造」という意味を持ちますが、これが派生して「計画の枠組み」や「戦略的な構想」としての意味を持つようになりました。

つまり、「スキーマ(schema)」と「スキーム(scheme)」は語源的には同じルーツを持ち、「体系的な枠組み」という共通の概念を含んでいるのです。


スキーマ・隙間・スキームを意識してみよう

  • スキーマを活用すると、新しい情報を素早く理解できる
  • 知識の隙間を埋めることで、より深い学びが得られる
  • スキームを立てることで、計画的に物事を進められる

スキーマは自然に形成される

スキーマは、意識的に作ろうとしなくても、日常生活の中で自然に形成されていきます。

例えば、小さな子どもが言葉を覚えるとき、「意識して勉強しよう!」と思っているわけではありません。しかし、周囲の大人が話す言葉を聞いたり、自分で試しに発音してみたりする中で、自然とスキーマが構築され、言葉を理解するようになります。

学習においても同じことが言えます。何かを学ぶときには、最初からすべてを完璧に理解しようとするのではなく、まずは「なんとなく」でもいいので、自分の中にスキーマを作っていくことが大切です。


スキーマは段階的に変化する

スキーマは、一度作られたら終わりではなく、新しい情報や経験によって修正・発展していきます。ある段階では正しいと思っていたスキーマが、より深い学びを通じて修正されることもあります。

例:数の概念の変化

子どもが「数」という概念を学ぶときの過程を考えてみましょう。

  1. 初期のスキーマ(具体的な数)
    小さな子どもは、最初は「目に見えるものを数える」ことで数を理解します。例えば、リンゴが1個、2個、3個と数えられることを学びます。この段階では、「数=目に見えるものの個数」というスキーマが作られます。
  2. スキーマの発展(自然数の理解)
    少し成長すると、見えないものでも「1」「2」「3」と数えられることを理解し、数の概念が広がります。この時点で、数は「具体的なものを数えるためのもの」から、「抽象的な概念」として認識されるようになります。
  3. スキーマの修正(小数・分数の理解)
    さらに進むと、「1と2の間にも数がある」ということを学びます。1.5や1.25のような小数、あるいは1/2や3/4といった分数を知ることで、「数は整数だけではない」というスキーマへと修正されます。

このように、学習を進めるにつれてスキーマは発展し、より正確なものへと変化していきます。


スキーマを修正する

スキーマは自然に形成されるものですが、時には「誤ったスキーマ」が作られることもあります。

例:小数の誤解

例えば、小さい頃に「数字は1, 2, 3, 4…と続くもの」と思い込んでしまうと、「1と2の間には何もない」と考えてしまうかもしれません。しかし、成長して小数の概念を学ぶと、「1.1、1.2、1.3…」という数があることを知り、誤ったスキーマを修正する必要が出てきます。

この修正は、一度学んだからといってすぐに完全にできるわけではなく、何度も経験を積みながら少しずつ行われていきます。

例えば、普段の生活の中で「テレビの天気予報で気温が15.5℃と表示される」「体重計で50.3kgと表示される」といった経験を積むことで、「小数は日常生活の中にも存在する」ということを自然に理解できるようになります。


スキーマを意識して学習を進めよう

学びを効率的に進めるためには、以下の3つの点を意識することが大切です。

  1. 最初は完璧を目指さなくてもよい
    まずは「なんとなくでもいいので理解する」ことを目指しましょう。学びの最初の段階では、細かいところまで正確に理解しようとするよりも、大まかな枠組みを作ることが重要です。
  2. 段階的にスキーマを発展させる
    学びが進むにつれて、より深い理解へとスキーマを発展させていくことが必要です。最初に作ったスキーマにとらわれず、新しい情報を取り入れながら柔軟に修正していきましょう。
  3. 誤ったスキーマは修正しながら学ぶ
    もし誤ったスキーマを持っていることに気づいたら、それを修正することを意識しましょう。間違った理解を放置せず、新しい情報をもとに正しい知識へとアップデートしていくことが大切です。

まとめ

スキーマとは、私たちが物事を理解するための枠組みのことです。学びの過程では、スキーマを意識しながら新しい知識を取り入れ、誤ったスキーマを修正していくことが重要になります。

最初から完璧なスキーマを作ることはできませんが、経験を積みながら少しずつ発展させていくことで、より深い理解が得られるようになります。学習を進める際には、「スキーマは常に変化し続けるもの」ということを意識すると、効率よく、気軽に学べるかもしれません。

人気・おススメの記事

高校の英語の教科書【レベル別に色々ある・中学より数が多い・どう使うか】 – 一英塾 勝田台校 (katsutadai-study.net)

英単語帳は5冊やれ?!実は5冊分やることになる?どういうことか? – 一英塾 勝田台校 (katsutadai-study.net)

大学入試英単語「SPARTA」「Stock」どんな単語集?どう使う? – 一英塾 勝田台校 (katsutadai-study.net)

「真・英文法大全(関正生)」【厚いからこそ読みやすい・使い方の注意点は?】 – 一英塾 勝田台校 (katsutadai-study.net)

「英語Keyワーク」を進める上でのポイント・どう活用するか? – 一英塾 勝田台校 (katsutadai-study.net)

写経(書き写す勉強)が、どのくらい効果的なのか、改めて考察してみると – 一英塾 勝田台校 (katsutadai-study.net)

最近は、日本の映画・ドラマでも英語の勉強ができる?【Netflixの吹き替え・字幕】 – 一英塾 勝田台校 (katsutadai-study.net)

高校レベルの英語参考書・どれを選ぶ?2つのポイントと、レベル別・分野別の例 – 一英塾 勝田台校 (katsutadai-study.net)


大学受験・12月までに合格する生徒が約50%?

高校生・教材をレベル順に進める注意点

中学生・ポイントを絞って学ぶ

社会が点数を伸ばしやすい??英・数の伸びにも??

小学校の算数・実は難しい?

いちえいじゅく
一英塾

お問合せフォーム

友だち追加

一英塾LINE公式アカウント

お問合せフォーム

勝田台校 トップページ

TEL:043-463-3003

一英塾(いちえいじゅく)勝田台校
勝田台駅から徒歩2分
千葉県佐倉市井野1544-31
なごみビル202

お問合せフォーム