千葉県公立高校入試 問題傾向・形式【2022年2月出題分を踏まえて】

今回は、千葉県の公立高校の入試問題の全般的な問題傾向・形式、および、2022年2月に実施された試験を踏まえての簡単な分析・受験に向けて準備すべきことを述べていきます。

公立高校入試全般

千葉県に限らず、公立高校入試での全般的な傾向を、まずは見ていきます。基本的には、中学の全範囲を、できる限り満遍なくだす、いろいろなレベルの生徒に対応するため、その科目が苦手な生徒も、それなりに得点できるように様々に配慮をしつつ、中~上位の生徒が、理解度・習熟度に応じてしっかり差がつくようになるように、問題をちりばめて出題します。また、広い範囲の知識を問いつつ、知識を使いこなす力を測り、近年出題することが望ましいとされていることを出題するため、複数分野の融合問題・総合問題を出題します。

千葉県の入試では・・

当然のことながら、全ての範囲から満遍なく出題されます。基本的な内容から、基本事項をベースにして、理解をもとに考え使いこなしていく応用的なものまで、バランスよく出題されています。
最近では、「前期・後期から1回の選抜に変更」「中学校ごとの内申補正の廃止」「本検査の日程変更」「英語の試験時間を60分に変更」(1日目=国語50分・数学50分・英語60分/2日目=理科50分・社会50分・各学校が実施する検査)などの形式面での大幅な変更がありましたが、出題されるものの形式・出題傾向には大きな違いはありません。

また、2022年2月から、新学習指導要領を反映した入試問題になっており、新たに追加された内容からも、各科目で出題されています。


問題の難易度は、年度によって上下していますが、ここ数年で大きく変わっているということはありません。ただ、ある程度年代をさかのぼると、例えば20年前くらいと比べると難化しており、親御さんの世代の受験時の記憶から考えると、少し違うものになっているかもしれません。
いずれにしても、ある程度学習を進めた上での、過去問での対策が有効です。過去問・模擬試験などでしっかりと練習をしていくことで、落ち着いて問題に取り組んでいくことができます。ただ、大幅な変更の可能性は極めて少ないものの、若干ながら過去問とは異なる出題形式、出題のされ方は、当然あるので、よく問題を読み、注意して問題を解いていく必要があります。

大学入学共通テストの出題形式の影響を、公立高校入試も受けます。千葉県の入試問題も、今年度は数学の最後の大問が、やや大学入学共通テストの形式に寄せたようにも見えますが、それ以外は、その点での大きな変化は少ないようです。他の科目は、以前から問題文の中に会話文が入っており、そこから大きな変化はありません。また、他県の場合には、設問とは無関係な冗長な文が続き、そこから必要な情報を拾ってくるタイプのものがありますが、千葉県の場合はそのようなことはありません。今年度も含めて、ちょうどよい分量で出題されています。

以上を踏まえて、2022年2月に出題された問題の概説、および来年に向けて準備することを簡単に述べていきます。

国語

例年通り、聞き取り問題・漢字の読み書き・論説文・小説・古典・作文が出題されました。
論説文・小説の読解問題の後半では、本文の内容を理解した上で、自分の言葉で説明する問題も出題されており、一定以上の得点を狙う場合は、しっかりと練習をしておきたいところです。なお、国語の記述問題は、問題によっては解答例とは異なっていても問題の趣旨に合致していれば正解となる場合があるので、過去問演習で答え合わせをしていて気になる部分は、丁寧に確認していきましょう。
論説文・小説で途中に難しい問題があり、古典で戸惑う問題が出やすい一方、最後の作文は比較的書きやすい題材が出されることが多くあります。なお、作文の題材自体は書きやすいものが多いですが、しっかりと問題の条件に沿った形で書かないと高い得点は望めませんので、どの点をチェックすべきかを過去問で練習しつつ、本番でも、設問を丁寧に確認することが大切です。

数学

問題構成が大問5つから、大問4つに変更されました。昨年までは、大問1・大問2に分けていた小問集合の問題(易しめの問題をばらばらに出す形式)が、大問1に統一されています。大問2(昨年度までの大問3)以降の形式は大きくは変わらず、関数の問題・図形の問題(証明問題含む)・総合問題の順に出題されました。

大問1の小問集合には、新カリキュラムで追加された、「四分位範囲と箱ひげ図」が早速登場しています。新たに追加されたものも含めて、統計分野は、しっかりと知ってさえいれば他の分野より解きやすいという面もあるので、抑えておきましょう。
最後の大問4には、問題の中に会話文が登場し、出題分野も出されやすいものとは少し異なったため、少し戸惑う部分もあったかもしれませんが、落ち着いてみていけば解ける問題も多くありました。
いかに解ける問題を慌てずに見落とさずに、しっかりと確実に解いていけるかが大切です。

英語


試験時間が50分から60分に変更になりましたが、問題形式は、ほぼ例年通りでした。最初にリスニング問題があり、文法問題・英作文・長文読解・対話文の問題が出題されました。長文読解の問題では、一つの文を読んで答えるだけでなく、複数の資料を照らし合わせながら答える問題も出題されます。さらに今年度は、時間数の増量・新学習指導要領を反映して、分量が増え、語彙の難しさがやや上がっています。

例年最後の方に出てくる会話文の問題は、比較的易しめで、今回も易しめでした。ただ、しっかりと会話表現・動詞の意味を覚えていないと引っかかる問題もあったので、基本的な表現はしっかりとおさえておく必要があります。会話でよく使われる表現を、そのまま覚えてしまうのと同時に、基本動詞(今回であればleaveとtake)の基本イメージをつかんでおくと忘れにくくなります。

理科


例年と大きく変わらない出題傾向・難易度でした。今年度は、新学習指導要領のダニエル電池も出題されました。すべての分野から満遍なく出題されるため、基本事項を一通り確認しておく必要があります。出題されている内容・状況を理解した上で解く計算問題、作図をする問題、文章による記述問題が出題されるため、一定以上の得点を狙うには、それぞれの内容の表面的ではない丁寧な理解が求められます。深く理解するのは大変そうですが、基本的な部分を正しくきっちりと理解すれば、あとは繋げて抑えていける部分も多いので、取り組みやすいものから見直しをしていきましょう。内容を深く理解するのは難しく感じるかもしれませんが、基礎事項を丁寧に理解すれば、それ以外の内容にもつながり、様々な問題に柔軟に対応できるようになります。

社会


例年と大きく変わらない出題傾向・難易度でした。すべての分野から満遍なく出題されます。特に中3の公民分野の後半部分からも、今年も出題されていました。ぎりぎりで学習することも多い分野のため、夏から秋ごろに、はやめに軽くでも良いので確認しておきましょう。知っていれば解ける問題も、数多く登場します。一方で、地理・歴史分野では、深く理解していないと差がつく問題、丁寧に問題文・資料を読み解かないと解けない問題も出題されます。特に、歴史分野の並べ替え問題は、難易度が高めの問題も多く、なかなか完答できないということも多いようです。過去問演習・模試などの復習の際に、教科書・資料集を見返して、どのような流れか、どのような因果関係・前後関係かをイメージをつかみながら見直して、少しずつ知識を確認していきましょう。

過去問

最新の過去問は、2022年5月時点では、千葉日報社のサイトなどで無料公開されています。

また、例年、過去問集が5月下旬~6月に、いくつかの出版社から発売されます。
今年度は、東京学参から5月26日の発売、声の教育社から6月15日の発売が予定されています。
受験生は、2つ出そろったあとで、本屋さんで見比べて、好みで選んでもらえれば大丈夫です。

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