今回は、2025年2月実施の千葉県の公立高校の国語の入試問題の中の、作文の問題を、いろいろと掘り下げてみます。
問題文
*本記事内で読みやすくするため、一部改変してあります。
【問題】
次の文章を読み、〈条件〉にしたがい、〈注意事項〉を守って、あなたの考えを書きなさい。
【文章】(イソップ物語より)
腹をすかせたキツネが、ぶどう畑の棚からぶどうの房が垂れ下がっているのを見つけた。
さっそく取って食べようとしたが、手が届かなかった。
背伸びしたり、飛び上がったりしてもだめだった。
キツネは、その場を立ち去りながらこう言った。
「 」
【① 入る言葉(A・B・Cのどれかを選ぶ)】
A:「あれはまだ熟れていない」
B:「ああ、きっとおいしいだろうに」
C:「何か、台になるものを探して来よう」
【② 条件】
二段落構成とし、十行以内で書くこと。
前段では、選んだ言葉(A・B・C)を示し、キツネの気持ちを説明すること。
後段では、選んだ言葉から読み取れることを、自分の体験をふまえて説明すること。
A・B・Cのどれを選んでも、採点には影響しない。
【③ 注意事項】
氏名や題名は書かないこと。
原稿用紙の正しい使い方を守ること。
誤字などの訂正に記号を使わないこと。
選んだ言葉(A・B・C)は、符号を使って示してもよい。
解答の作成手順例
解答を作るための思考・作成の過程
まず、解答を作る手順を整理します。
選択肢 A・B・C のどれを使うか決める
A「あれはまだ熟れていない」→ 負け惜しみの気持ち
B「ああ、きっとおいしいだろうに」→ 素直な残念な気持ち
C「何か、台になるものを探して来よう」→ 工夫して挑戦しようとする気持ち
前段:キツネの気持ちを書く
選んだ言葉がどういう気持ちを表しているのか考える。
どんな状況だったのかを、わかりやすく書く。
後段:自分の体験をもとに説明する
「見たり聞いたりしたこともOK」なので、自分の経験や知っている話と関連づける。
書きやすい話題(テスト、運動、遊び、ゲーム、友達とのやりとり など)を選ぶ。
最後に「この話から何が学べるか」を書く。
解答例
解答例(選択肢 A の場合)
パターン①(テストの点数)
私はAを選ぶ。本当は食べたかったけれど、届かなかったので、「まだ熟れていない」と言ってあきらめたのだと思う。
私はテストで悪い点を取ったとき、「この問題は先生が意地悪だからだ」と思ったことがある。でも、本当は自分の勉強が足りなかったのかもしれない。素直に努力することが大切だと思った。
パターン②(かけっこで負けた)
私はAを選ぶ。本当はぶどうを食べたかったけれど、届かないので、「どうせまずい」と思うことであきらめようとしたのだろう。
私は運動会のかけっこで負けたとき、「最初から勝てるわけなかった」と言ってしまった。でも、友達が「練習すれば来年勝てるよ」と言ってくれて、またがんばろうと思えた。言い訳せずに努力することが大切だと感じた。
パターン③(ゲームで負けた)
私はAだと思う。本当は食べたかったのに、届かないので、「まずいぶどうだから、食べなくていい」と自分を納得させようとしたのだろう。
私はゲームで負けたとき、「運が悪かった」と思ったことがある。でも、強い友達に聞くと、コツをつかめば勝てると教えてくれた。努力せずにあきらめるより、どうすればうまくできるか考えることが大切だと思った。
パターン③ー2(ゲームで負けた)
私はAだと思う。本当は食べたかったのに届かず、悔しい気持ちをそのまま受け入れるのがつらかったので、「まだ熟れていないから、食べなくて正解だった」と考え、自分を納得させようとしたのだろう。
私はゲームで負けたとき、「このゲームは運が悪いから仕方がない」と思ったことがある。そのときは悔しさを感じなくてすんだので、気持ちが楽になった。悔しい気持ちを無理に消すだけでなく、前向きな気持ちに変えていくことも大切だと思う。
解答例(選択肢 B の場合)
パターン④(習い事の大会で負けた)
私はBを選ぶ。ぶどうを食べたかったのに届かず、素直に残念な気持ちだったのだと思う。
私はピアノの発表会でうまく弾けなかったとき、「もっと練習しておけばよかった」と思った。でも、悔しい気持ちがあったからこそ、次はがんばろうと思えた。素直な気持ちを持つことが、成長につながると思う。
パターン⑤(くじ引きでハズレ)
私はBを選ぶ。ぶどうが食べられなかった悔しさを、そのまま言葉にしたと思う。
私はお祭りのくじ引きで一等をねらったけれど、ハズレだった。とても残念だったけれど、「当たったらすごくうれしかっただろうな」と思った。悔しい気持ちがあるからこそ、次のチャンスに期待できるのだと思った。
解答例(選択肢 C の場合)
パターン⑥(逆上がりの練習)
私はCを選ぶ。あきらめずに工夫してぶどうを取ろうとする前向きな気持ちだったと思う。
私は逆上がりができなかったとき、あきらめずに低い鉄棒で練習したり、友達に教えてもらったりした。すると、少しずつできるようになった。すぐにあきらめるのではなく、工夫して挑戦することが大切だということがこの文章から読み取れる。
パターン⑦(工作の失敗)
私はCを選ぶ。これは、どうすればぶどうを取れるかを考え、工夫しようとしている気持ちだ。
私は工作でうまく作れなかったとき、最初は失敗だと思った。でも、材料を変えたり、やり方を工夫したりすると、もっといい作品ができた。あきらめずに考えることで、できることが増えるとということがこの文章から読み取れる。
パターン⑧(スポーツの練習)
私はCを選ぶ。これは、目標をあきらめずに、できる方法を考えようとする前向きな気持ちを表している。
私はバスケットボールのシュートが届かなかったとき、すぐにあきらめず、筋力をつけるために腕立て伏せをしたり、フォームを工夫したりした。その結果、少しずつシュートが入るようになった。努力を続けることで成長できると思った。
まとめ(解答を作るコツ)
キツネの気持ちをわかりやすく説明する(「負け惜しみ」「残念」「前向き」など)
自分の経験に結びつける(学校や遊びの話だと書きやすい)
最後に「学べること」を書く(「努力が大切」「言い訳しない」「素直な気持ちを持つ」など)
短時間で解答を作成するコツ
国語の入試問題では、限られた時間の中で、分かりやすく簡潔に解答を書くことが求められます。そこで、短時間でもスムーズに解答が書けるように、次のポイントを意識しましょう。
① 解答の「型」を決めておく
作文問題は自由に書いてよいわけではなく、決められた条件に沿って答える必要があります。「条件」は毎年微妙に異なりますが、比較的似た条件になっています。そこで、あらかじめ「型」(テンプレート)に沿った練習をしておくと、時間をかけずにスムーズに書けます。
定番の基本の「型」(二段落構成)
① 前半
・選んだものを書いて、そのを説明する。
② 後半(自分の意見・経験を書く)
・自分の経験や見たり聞いたりしたことを書く。
・そこから学べることをまとめる。
② 何を選んでもOK!迷わない!
どれを選んでもいいので、すぐに決めることが大切です。
「これなら書きやすい!」と思うものをすぐに選ぶのがポイントです。
③ 難しい言葉を使わず、シンプルに書く
国語の作文では、「難しい表現」や「長すぎる文」を使う必要はありません。短く、わかりやすく書くことが大切です。
④ 書く前に、簡単にメモをする
作文を書くときに、いきなり書き始めると「途中で何を書けばいいのかわからなくなる」ことがあります。そこで、書き始める前に、簡単なメモを作るのがおすすめです。
メモの例(選択肢 A を選んだ場合)
① キツネの気持ち(前半)
→ 「あれはまだ熟れていない」=負け惜しみ、くやしい気持ちを隠している
② 自分の経験(後半)
→ テストで悪い点を取った話
→ 「どうせ難しすぎた」と思ったけど、本当は勉強不足だった
→ 「言い訳せずにがんばることが大切」とまとめる
このように、ポイントだけメモしておくと、スムーズに書けます。
上記の例よりもっと短くてもかまいません。
⑤ 書いた後に、1回だけ見直す
作文は、書いたらすぐに終わりではなく、すこしだけでも見直しをするのが大切です。
(とはいうものの、実際は見直す時間は無いかもしれませんが、一瞬でもとれれば・・)
短い時間でも、以下の3点をチェックするだけで、ミスを防げます。
チェックするポイント
誤字・脱字がないか(「ぶどう」を「ぶどぅ」と書いていないか)
条件を守っているか(二段落になっているか)
話がずれていないか(キツネの話から考えたことを書いているか)
長い時間はかけなくてOK!少しでいいので見直しましょう!
まとめ:短時間で書くコツをおさらい!
「型」に慣れる
あまり迷わない(書きやすいものをすぐに選ぶ)
シンプルな文章を書く(短い文)
書く前に簡単なメモ(ポイントだけ決めておく)
見直す(誤字・条件・話のズレをチェック)
この5つを意識すると、短い時間でも分かりやすい解答が書けるようになります!
ちょっとしたトレーニング方法
入試では、まったく同じ問題が出ることはありません。しかし、どんな問題が出ても対応できる力をつけておけば、自信をもって解答できます。そのためには、「考える力」と「書く力」をバランスよく鍛えることが大切です。
では、具体的にどのようなトレーニングをすればいいのか。模擬試験のときなどに練習することができますが、それ以外に、下記のようなことを意識すると書きやすくなります。
① どんな問題が出ても対応できる「考える力」をつける
入試の作文問題では、「文章を読んで、自分の考えを書く」ことが求められます。これに対応するために、「どんな話を読んでも、すぐに自分の考えが思い浮かぶ力」をつけておくと有利です。
トレーニング方法 :「読んだら考える」習慣をつける
やること:物語や説明文を読んだら、「これはどんなことを伝えたいのか?」を考える。
「この話から、自分は何を学べるだろう?」と考えてみる。
「自分の経験と似たことはある?」と思い出す。
② どんなテーマでもすぐに書ける「書く力」をつける
考える力がついても、それを文章にできないと点数にはつながりません。作文を書く練習をするときは、「シンプルでわかりやすい文」を意識することが大切です。
トレーニング方法 :「短くてもいいから、作文を書く練習をする」
やること:1つのテーマについて、5〜10行くらいの短い作文を書く練習をする。
③ よくあるテーマに慣れておく
作文問題では、「どんなテーマが出るかわからない…」と不安に思うかもしれません。でも、実はよく出るテーマにはパターンがあります。
出やすいテーマ
努力の大切さ(あきらめずに挑戦した経験)
友達との関係(助け合い・思いやり)
失敗から学んだこと(失敗して気づいたこと)
成長を感じたこと(昔はできなかったけど、今はできるようになった)
これらのテーマについて、事前に「自分の経験」を考えておくと、本番で書きやすくなります。
「自分の経験」を思い出してメモしておこう!
例:「努力の大切さ」→ 逆上がりの練習、計算が速くなった、テスト勉強をがんばった
例:「友達との関係」→ 友達を助けた、友達に助けられた、ケンカして仲直りした
そんなに単純ではないけれど・・・
世の中は、単純ではありません。
努力をしても、すぐに結果が出ないこともあります。
頑張っても、思ったようにならないこともあります。
しかし、作文のトレーニングでは、特に入試の作文の練習では、「シンプルな考え方のパターン」をたくさん持っておくことが大切です。
特に入試の作文の問題は時間が限られているので、考え込んでしまうと、なかなか書き始めらません。
そこで、「こういうテーマなら、こういうパターンで書ける!」という考え方を、すぐに思いつけるようにしておきましょう。
これができるようになると、本番でもスムーズに書くことができます。
① まずは、よくあるテーマごとにシンプルな考え方を作ろう!
作文の問題には、よく出るテーマがあります。
そこで、まずは「シンプルな考え方」をすぐに思いつけるようにしましょう。自分の経験で似た内容、近い内容などを、シンプルにまとめておきましょう。
①-1「努力の大切さ」の例
✅ パターン1:練習すればできるようになる!
例)逆上がりの練習を続けたら、できるようになった。
→ 「努力をすれば、できることが増えると学んだ。」
✅ パターン2:最初はダメでも、工夫すればうまくいく!
例)勉強の仕方を変えたら、テストの点が上がった。
→ 「ただ頑張るだけでなく、工夫も大切だと気づいた。」
✅ パターン3:努力しても報われないこともあるが、それでも意味はある!
例)大会で負けたけれど、成長できた。
→ 「結果が出なくても、努力には価値があると学んだ。」
①-2「友達との関係」の例
✅ パターン1:友達に助けてもらった!
例)忘れ物をしたときに、友達が貸してくれた。
→ 「困ったときに助けてくれる友達の大切さを学んだ。」
✅ パターン2:友達を助けて喜ばれた!
例)泣いている友達に声をかけたら、元気になった。
→ 「相手の気持ちを考えることが大切だと学んだ。」
✅ パターン3:友達とケンカして仲直りした!
例)ケンカしたけれど、話し合って仲直りできた。
→ 「本音を伝えることが大事だと感じた。」
①-3「失敗から学んだこと」の例
✅ パターン1:準備をしなかったせいで失敗した!
例)テスト勉強をしなかったら、悪い点を取った。
→ 「何事も事前の準備が大切だと学んだ。」
✅ パターン2:失敗したけれど、次に活かせた!
例)料理を焦がしてしまったが、次は上手にできた。
→ 「失敗しても、そこから学べることがあると気づいた。」
✅ パターン3:失敗したからこそ、他のことに挑戦できた!
例)部活のレギュラーになれなかったけど、新しいことを始めた。
→ 「一つの失敗で終わりではなく、別の道もあると学んだ。」
ここまで、「努力は大切」「友達は大事」「失敗から学ぶことがある」といったシンプルなパターンを紹介しました。
でも、現実の世界はもっと複雑です。
それでも、まずは「シンプルな考え方のパターン」を持っておくことが大事です。
なぜなら、試験では限られた時間の中で、自分の考えを伝えなければならないからです。
まとめ
いずれにしても、文章を長くしすぎず、シンプルに、わかりやすく書くことを意識しましょう。
さらに、氏名や題名を書かないこと、原稿用紙の使い方を守ること、間違えても訂正記号を使わないことといったルールも改めて意識しましょう。
作文を書くときは、最初に書く内容をさらりと簡単に整理してから、落ち着いて書き始めると、スムーズにまとめることができます。
これらのポイントを意識して、自信をもって取り組みましょう!
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